更新日 2026年11月1日

現場のリアル|銀行・融資先

銀行が融資先にCO2の排出量を求める

銀行は、お金を貸している会社の排出量も、自分の排出量として数えています。そのため、融資先の会社に排出量のデータを求めるようになりました。

現場のリアル #0553行排出量を数える地方銀行

まずやること

  1. 本社や工場などの拠点ごとに、電気や燃料の1年分の使用量を表にします。
  2. 取引銀行が紹介する算定ツールに入れ、会社全体の排出量を出します。
  3. 排出量と、外部の検証を受けたかどうかを、銀行に伝えます。

融資先の排出は銀行のScope3カテゴリ15

融資先の排出量のうち、銀行が自分の分として数える量を「ファイナンスド・エミッション」と呼びます。取引先など自社の外で出る排出(Scope3)の「カテゴリ15(投資)」にあたります。

数え方は、PCAF(金融機関の排出量の算定の国際的な集まり)の基準が広く使われています。融資先の自己資本と負債の合計に、自行の融資の残高が占める割合を出します。その割合を、融資先の排出量にかけます。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は2021年5月に宣言を出しました。2050年までに、投資と融資の先の排出量をネットゼロ(出す量と減らす量の差し引きでゼロ)にする内容です。三井住友フィナンシャルグループは、2021年10月にPCAFに加わりました。

53行地方銀行61行のうち、ファイナンスド・エミッションを数えている銀行の数(2025年10月)。1年前は62行のうち47行

全国地方銀行協会「地方銀行におけるサステナビリティ推進に関する取り組み」(2026年3月)

数字を出さなければ業種の平均で推計

PCAFの基準では、融資先のデータの質を1から5の段階で示します。1が最も質が高く、5が最も低い段階です。

質の段階銀行が使うデータ
1外部の検証を受けた、会社の排出量
2会社が自分で計算した排出量か、エネルギーの使用量から出した排出量
3生産量から出した排出量
4・5売上高や資産に、業種の平均の係数をかけて推計した排出量

会社が数字を出さなければ、銀行は業種の平均で推計します。平均の値では、会社が減らした分が数字に出ません。

金融庁が2025年6月にまとめた資料でも、金融機関はデータの不足を課題に挙げています。中堅・中小企業の意識を高めることも、課題の1つです。

集めるのは拠点ごとのエネルギーの使用量

地方銀行61行のうち60行は、取引先のCO2の排出量を見える形にするサービスを出しています(2025年10月)。

例として、静岡銀行と日立製作所の「しずおかGXサポート」があります。拠点ごとのExcelのシートに、エネルギーの使用量を入れて使います。浜松いわた信用金庫の案内では、1つ目のIDは無料です。2025年4月からは、静岡県内のすべての地方銀行と信用金庫が扱っています。

1依頼を受ける銀行から、排出量のデータを頼まれる
2集める本社や工場などの拠点ごとに、電気や燃料などのエネルギーの使用量を集める
3計算する銀行が紹介する算定ツールに入れ、会社全体の排出量を出す
4渡す排出量と、外部の検証を受けたかどうかを、銀行に伝える
5数える銀行が、融資の割合に応じて、自行の排出量に足す
PCAFの基準(2025年12月)と、浜松いわた信用金庫の案内(2024年1月)をもとに作成

目標の達成で金利が変わる融資も

サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)は、借り手が前もって決めた目標の達成を後押しする融資です。

環境省のガイドライン(2026年8月改訂)は、目標を測る指標を「KPI」、達成すべき水準を「SPT」と呼びます。1年ごとに更新する融資なら、SPTを達成すると金利を下げ、未達なら上げる例が示されています。

借り手は、少なくとも年に1回、指標の最新の情報を銀行に出します。達成したかどうかは、外部の機関の検証を受けることが必須です。

地方銀行61行のうち52行が、SLLを扱っています(2025年10月)。横浜銀行は、中小企業が外部の評価をとる負担を軽くした型を設けています。

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