更新日 2026年11月1日

現場のリアル|データセンター・IT

データセンター、電気の数字を国と利用企業に出す

データセンターは、サーバーを動かし、冷やすために多くの電気を使います。国は省エネ法で、その効率の報告を求めています。クラウドの大手は、利用企業ごとの排出量も出しています。担当者が集める数字と、その出し先を整理します。

現場のリアル #151.4以下2030年度に目指すPUE

まずやること

  1. データセンターごとに、全体の電気とIT機器の電気を分けて記録します。PUE(電気の使い方の効率を示す値)の計算に、両方が要るからです。
  2. 利用企業ごとの電気を、ラック(サーバーを収める棚)やサービスの単位でどう分けるかを決めます。
  3. 再エネの証書と、PPA(発電事業者から電気を長く買う契約)を一覧にし、毎年の再エネの量をまとめます。マーケット基準の排出量に使うからです。

省エネ法の指標はPUE

PUE(電力使用効率)は、データセンター全体の電気を、IT機器の電気で割った値です。IT機器とは、サーバーや通信の装置のことです。値が1.0に近いほど、冷房などに回る電気が少ないことを示します。

省エネ法(エネルギーの使い方の見直しを会社に求める法律)には、ベンチマーク制度があります。業種ごとに効率の指標と、目指す水準を決める仕組みです。

データセンター業は、2022年度に対象に加わりました。2023年度に出す定期報告から、PUEの報告が要ります。水準は、各業種で1〜2割の事業者だけが満たす高さに決めています。達成した事業者は、省エネ優良事業者として社名が公表されます。

1.4以下データセンター業の目指す水準。2030年度に、事業者平均のPUEをここまで下げるよう努める

資源エネルギー庁「データセンターの効率化に向けた制度面での対応」(2025年6月9日)

参考に、Googleは2025年の自社の平均PUEを1.09としています。

データセンターごとの方針も2026年4月から

資源エネルギー庁は2025年6月、追加の措置の案を示しました。

措置案の中身
満たすべき基準2029年度以降の新設は、稼働から2年たったらPUE1.3以下
新設の目標2025年度以降の新設について、PUEの目標を出し、公表する
事業者全体の目標2030年度の事業者平均のPUEの目標を出す
追加の定期報告データセンターごとに、使用量や効率を報告する
一部の公表効率などの情報を、データセンターごとに公表する

省エネ法の施行規則(国が定める細かい決まり)は、2026年4月1日に改正されました。データセンターの事業者は、中長期計画書に書類を添えることになりました。添えるのは、目標と、データセンターごとの設備の運用や新設、更新の方針です。定期報告の期限は、毎年度の7月末日です。

案のうち、基準の数字などの最終の形は、このページでは確かめられませんでした。

利用企業ごとの排出量も渡す

クラウドを使う会社にとって、その電気の排出は自社の外で出る排出です。取引先など自社の外で出る排出を、Scope3と呼びます。

Google Cloudは、利用企業ごとの排出量を出しています。利用企業は、この数字を自社のScope3に入れられるとしています。電気の分は、月ごとにまとめます。

AWSは2026年3月31日、排出量を見る新しい画面を発表しました。利用に応じたScope1〜3を、地域とサービスごとに示します。2022年1月までさかのぼれます。CSV(表計算ソフトで開ける形式)と、システムでつなぐ口(API)でも取り出せます。

1はかるデータセンターごとに、全体の電気とIT機器の電気をはかる
2計算する日本データセンター協会の方法でPUEを出し、事業者全体の値にまとめる
3国に出す定期報告書と中長期計画書を、国に出す
4割り振る使った電気と排出量を、利用企業ごとに分ける
5入れる利用企業が、受け取った数字を自社のScope3に入れる
省エネ法施行規則、日本データセンター協会の資料、Google CloudとAWSの公開資料から作成

再エネに替える4つの方法

環境省の資料は、再エネ(再生可能エネルギー)の調達の方法を4つに分けています。敷地内の太陽光、敷地の外の発電所、再エネの電力メニュー、証書の購入です。

PPA(電力購入契約)は、発電事業者から再エネの電気を、前もって決めた価格と期間で買う契約です。期間は5〜20年ほどです。

形届くもの
フィジカルPPA電気と環境価値がセットで届く
バーチャルPPA電気は届かず、環境価値の証書だけが移る

新設の発電所などでは、非化石証書を直接買う形もとれます。非化石証書は、化石燃料を使わない電気の環境価値を、電気から切り離した証書です。

NTTデータは2024年3月、三鷹データセンターEASTでフィジカルPPAを結びました。3か所の新しい太陽光発電所から、年に440万kWhを受けます。施設で使う電気の約2割にあたり、契約は20年です。

こうした再エネの購入は、マーケット基準の排出量に表れます。マーケット基準とは、会社が買った電気の中身で数える方法です。

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