更新日 2026年11月1日

現場のリアル|電機・半導体

電子部品メーカーに再エネ・労働監査・鉱物調査の依頼

電子機器の部品を作る会社には、大口の取引先から3つの依頼が届くことがあります。電気を再エネ(再生可能エネルギー)に替えること、労働の監査を受けること、金やスズの出どころを調べることです。3つの依頼のそれぞれで、担当者が集める数字と書類を整理します。

現場のリアル #08232か所Appleが外した製錬・精製業者

まずやること

  1. 工場ごとに、燃料と買った電気の量を表にします。
  2. 金やスズなどを使う部品の仕入れ先に、CMRT(鉱物の出どころの調査票)の依頼を回します。
  3. 労働の監査に備えて、勤怠の記録を確かめます。基準は、週60時間までと、7日に1日の休みです。

完成品メーカーと業界団体の3つの決まり

依頼のもとは、取引の条件として守る行動規範です。例として、Appleと業界団体RBAの決まりを見ます。

求められること決まりの例
電気を再エネに替えるApple:Apple向けの製造に使う電気と同じ量を、すべて再エネでまかなう
労働の監査を受けるRBA:残業を含めて週60時間まで。7日に1日は休ませる
鉱物の出どころを調べるRBA・Apple:金やスズなどを、製錬業者までたどって調べる

RBA(責任ある企業同盟)は、2004年に電子機器の会社が作った団体です。会員は600を超えます。RBAの規範は、会員に、直接の仕入れ先にも規範を守らせるよう求めています。

集めるのは電気の量と製錬業者の名前

再エネの依頼では、まず温室効果ガスの量を工場ごとに数えます。燃料を燃やした分と、買った電気の分です。会社全体の量から、Apple向けの分を決められた方法で切り分けます。

その量と目標、減らした実績を、毎年Appleに報告します。

鉱物の調査には、CMRTという調査票を使います。RMI(責任ある鉱物イニシアチブ)が無料で配るExcelの表です。

1依頼が届く取引先から、CMRTに答えるよう頼まれる
2さかのぼる自社の仕入れ先に同じ依頼を回す。仕入れ先は、さらにその先に回す
3まとめる戻ってきた表の製錬業者を一覧にし、重なりを消す
4答える使用の有無などの8問、方針の8問、製錬業者の一覧を書いて出す
JEITA「CMRTの書き方」(6.6版、2026年6月22日)をもとに作成

労働の監査は、RBAが認めた独立の監査会社が工場で行います。調べる項目は93です。指摘には直す期限がつき、会社は是正の計画を出します。

重い違反なら新しい仕事は受けられない

Appleは、規範に反すると取引の打ち切りもありうると定めています。重い違反が見つかると、相手の社長に知らせます。直るまでは、新しい仕事を受けられないよう制限します。

232か所Appleが2009年から、決まりを満たさないとして取引から外した製錬業者と精製業者の数

Apple「Supplier Responsibility」

鉱物の調査は、アメリカの法律から始まりました。アメリカの上場企業は、紛争鉱物の報告を毎年5月31日までに出します。紛争鉱物とは、武装勢力の資金源になるおそれのある鉱物です。

Apple向けの排出は2029年度までに実質ゼロ

Appleの2029年度末仕入れ先が、Apple向けの製造の温室効果ガスを実質ゼロ(差し引きでゼロ)にする期限

Apple「Supplier Code of Conduct and Supplier Responsibility Standards」
2022年13.7GW
2024年17.8GW
2025年20GW超
Appleの仕入れ先の再エネの発電設備の容量。Appleの発表(2023〜2026年)

半導体では、直接の仕入れ先26社が約束をしました。2030年までに、Apple向けの製造で出るフッ素を含む温室効果ガスを9割以上減らします。

調査票も毎年改まり、CMRTは2026年4月に6.6版が出ました。

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