更新日 2026年11月6日
中国は、磁石や電池の材料になるレアアースなどを、輸出に商務部の許可が要る品目に指定しています。軍事への転用や拡散を防ぐためと説明していますが、許可が出るまで出荷できないので、中国産の素材や部品を使う日本の工場には調達の遅れになって表れます。中・重希土類7種の許可制はいまも続き、2025年10月に足した規制は一時停止の期限が迫っています。
対象は、軍事にも民生にも使える両用品目です。規制ごとに、向け先といまの状態が違います。
| 規制 | 向け先といまの状態 |
|---|---|
| 中・重希土類7種(サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウム)の金属・合金・酸化物・化合物など | すべての国。許可制が続く |
| 2025年10月に追加した規制。ホルミウムなど5種のレアアース、レアアースの設備・原料と技術、リチウム電池と黒鉛負極材、超硬材料など | すべての国。2026年11月10日まで停止 |
| ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬材料の原則不許可 | 米国。2026年11月27日まで停止 |
| 日本の軍事用途への両用品目の輸出禁止と、日本の企業・組織を載せた2つのリスト | 日本。続いている |
停止中の2つは、2025年10月30日の米中首脳会談のあとに止められました。停止は日本向けの輸出にも及びますが、期限が切れれば元の規制に戻ります。
| 立場 | 見分け方 | すること |
|---|---|---|
| 中国から対象品を買う会社 | 直接でも商社経由でも、上の表の素材や、それを含む磁石・部品を中国から仕入れている | 仕入れ先の許可の状況を聞き、11月10日のあとの手当てを決める |
| 日本の防衛に関わる取引がある会社 | 自社や取引先が、商務部の2つのリストに載っている。または製品が防衛向けに使われる | 中国から両用品目を買えるかを、品ごとに確かめ直す |
| 中国産の対象品を使わない会社 | 仕入れ先をたどっても、中国産の対象品が入っていない | 差し迫った作業はない。新しい部材を採用するときに、中国産の対象品が入るかを見る |
両方に当たる会社は、防衛に関わる取引の確認から始めます。リストに載ると、許可を申請する前に輸出の相手から外されるためです。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年4月4日(済) | 中国が中・重希土類7種の輸出を許可制にした |
| 2026年1月6日(済) | 日本の軍事用途への両用品目の輸出を禁止した |
| 2026年2月・6月(済) | 日本の企業・組織計80を、2回に分けて2つのリストに載せた |
| 2026年10月19日(済) | 輸出の通関で、税関の疑義確認と商務部の鑑別の手続きを定めた。日本向けに限らない |
中国から対象品を買う会社
日本の防衛に関わる取引がある会社
Q 防衛と関係のない会社でも、日本向けの措置の影響を受けますか。
A 防衛と関係がなく、リストにも載っていなければ、軍事用途の禁止とリストの対象ではありません。ただ、2026年10月に定めた通関の手続きはすべての輸出にかかり、税関が両用品目に当たるかを確かめるあいだは出荷できません。
Q 停止中の品目なら、いまは許可なしで買えますか。
A 2025年10月に足した規制の分は、停止中は許可が要りません。7種の許可制は停止の対象に入っておらず、いまも許可が要ります。
永久磁石とレアアースは、日本では経済安全保障推進法の特定重要物資に入り、国内での生産や備蓄を国が助成しています。
7種の許可制 商務部と税関総署が2025年4月4日に公告し、同日から実施しました。根拠は輸出管理法、対外貿易法、税関法、両用品目輸出管理条例です。輸出する側は商務部に許可を申請し、通関の申告書の備考欄に対象品目に当たるかを書き、当たる場合は両用品目輸出管理コードも添えます。税関は記載に疑義があれば説明を求め、そのあいだは通関させません。
停止中の公告 2025年10月9日の公告を、2025年11月7日の商務部・税関総署公告2025年第70号で、2026年11月10日まで停止しました。
| 公告 | 中身 |
|---|---|
| 第55号 | 超硬材料 |
| 第56号 | レアアースの設備と原料・副資材 |
| 第57号 | 中・重希土類(ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユウロピウム、イッテルビウム) |
| 第58号 | リチウム電池と人造黒鉛の負極材 |
| 第61号 | 中国の外にあるレアアース関連品目 |
| 第62号 | レアアースの技術 |
米国向けの規制は2024年の商務部公告第46号の第2項で、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬材料の両用品目を原則として許可しないとしたものです。2025年11月9日の商務部公告2025年第72号で、2026年11月27日まで停止しました。
日本向けの措置 2026年1月6日の商務部公告2026年第1号は、すべての両用品目について、日本の軍事ユーザー、軍事用途、日本の軍事力の向上に役立つほかの一切の使い手・用途への輸出を禁じました。国や地域を問わず、中国原産の対象品を日本の組織や個人に移した者の責任も問うとしています。公告の時点で、「軍事力の向上に役立つ」使い手・用途の範囲の説明はありませんでした。
| リスト | 載った会社・組織 | 載るとどうなるか |
|---|---|---|
| 輸出管理コントロールリスト | 2月24日に20(公告第11号)、6月29日に20(公告第27号) | 中国から両用品目を輸出できない。中国の外の組織・個人も、中国原産の両用品目を渡せない。特別な事情があれば商務部に申請する |
| 注視リスト | 2月24日に20(公告第12号)、6月29日に20(公告第28号) | 包括許可などが使えず、個別の許可が要る。申請にはリスク評価報告書と、日本の軍事力の強化に使わない旨の書面を付け、審査の期間は条例の期限に縛られない。検証に協力すれば、リストから外す申請ができる |
通関の鑑別 商務部・税関総署公告2026年第52号は、2026年10月19日に公布されました。税関が両用品目かどうかを疑うと、出荷する側は通知から7営業日以内に輸送の証憑や送り状などの資料を出します。税関は資料の受領から15営業日以内に判定するか、商務部に鑑別を頼み、商務部は15営業日以内に結論を出します。資料の補充や検査にかかる日数は数えません。そのあいだ貨物は通関できませんが、対象外の貨物を分けて通関するよう申請できます。越境EC、手荷物、郵便、宅配便での輸出にも同じ手続きを当てます。
| 時期 | 項目 | 状態 |
|---|---|---|
| 2026年11月10日 | 2025年10月に足した規制の停止の期限 | 延長するかは未定。中国の延長の公告は、11月6日時点で出ていない。米国のベッセント財務長官は9月23日、「2027年1月10日までの延長」で合意したと発言したが、9月25日に米国政府が出した首脳会談のファクトシートに延長の記載はない |