更新日 2026年11月1日

制度の解説|省エネ・温対

省エネ法の報告義務とデータセンター向けの措置

省エネ法の報告の義務がある事業者のうち、データセンターを運営・利用する会社は、2026年4月から、毎年度出す中長期計画書に3つの書類を添えることになりました。省エネ法はエネルギーを効率よく使わせ、化石燃料からの切り替えを進めるための法律で、工場や事業所を合わせて原油換算で年1,500kl以上のエネルギーを使う事業者に、使用状況の報告と計画を毎年度出させます。計画には省エネのほか、水素など化石燃料以外の燃料や、化石燃料を使わずにつくった熱・電気、つまり非化石エネルギーへの転換も入ります。

制度の解説省エネ法

全社で1,500klか、データセンターがあるか

区分線の引き方毎年度の仕事
特定事業者全ての工場や事業所の燃料、他者から受けた熱、電気の使用量を原油の量に換算して合計し、年1,500kl以上。使用量は、燃料や電気、ガスの請求書や検針の記録で分かる担当者を選び、毎年度、計画と報告を出す
上のうち、データセンターを使う会社データセンターを運営し、または借りて、情報処理の設備や機能の一部を提供している毎年度出す中長期計画書に、3つの書類を添える
義務がない会社合計が上の量に届かない毎年の合計を見ておく。届いた年度があれば、翌年度の5月末までに国に届け出る

効率を年1%よくする目安と、非化石の計画

  1. 評価の物差しは、生産量などあたりのエネルギー使用量である原単位を、年1%よくすることです。国は毎年度の定期報告をもとに事業者をS・A・B・Cに分け、届かずに原単位の増加が続くと、注意を促す文書や現地調査、指導の対象になります。達成した事業者は、社名が経済産業省のサイトで公表されます。
  2. 省エネだけでなく、非化石エネルギーへの転換の計画も出します。買った電気は小売電気事業者のメニューごとの非化石電源の比率で評価され、工場等の屋根への太陽光の導入目標と、設置の余地も国に報告します。
  3. データセンターは、数字の基準へ進む途中です。いまは方針などの書類を添える段階ですが、新設のデータセンターに、1.0に近いほど電力効率がよいPUEという指標の上限を求める案が出ています。

データセンターの書類は2026年4月から

時期すること
2026年4月1日(済)データセンター向けの書類と、屋根の太陽光の報告が加わった
2027年7月末特定事業者が、2026年度分の定期報告書と中長期計画書を出す。データセンターの事業者は、計画書に3つの書類を添える
2030年度データセンター業の事業者が、平均PUE1.4以下を目指す。国が業種ごとに定めるベンチマークでの努力目標

特定事業者がまずすること、データセンターの会社の追加分

特定事業者

  1. 法人が持つ全ての工場や事業所の使用量を原油に換算して合計し、対象の量に届くかを確かめます。
  2. 1つの工場等で3,000kl以上か1,500kl以上なら、指定工場等として、現場の管理を担うエネルギー管理者やエネルギー管理員を選びます。
  3. 事業の実施を統括管理する者をエネルギー管理統括者に選び、補佐するエネルギー管理企画推進者とあわせて届け出ます。
  4. 定期報告で出す原単位の改善が、国の物差しに届いているかを確かめます。

上のうち、データセンターを使う会社

  1. 情報システムと設備の担当で、省エネの目標、データセンターごとの方針、設備の方針の3つの書類を用意します。
  2. データセンターごとのPUEを把握します。業種の目標や、新設に上限を求める案に備えるためです。

借りている場合、使用量が減った場合

Q データセンターを借りて事業をしています。書類の添付は必要ですか。
A 対象に含まれます。添付を定めた規定の対象には、データセンターを「利用し」て事業を行う者も含まれています。

Q 使用量が基準を下回りそうです。指定は外れますか。
A 申し出れば外れることがあります。基準以上になる見込みがなくなったときは、指定の取消しを申し出られ、国は理由があると認めれば指定を取り消します。

細かい決まり法第7条の判定、特定事業者の5つの義務、クラス分けと罰則

法律の名前と範囲 省エネ法の正式名は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」です(昭和54年法律第49号)。国の資料では「省エネ・非化石転換法」とも呼びます。

項目内容
何が中長期計画書と定期報告書の提出、エネルギー管理の担当者の選任
いつ毎年度7月末日まで(施行規則第35条・第36条)
提出先主務大臣。経済産業大臣と、その事業を所管する大臣(法第171条)
最近の改正施行規則の改正(令和7年経済産業省令第81号)が2026年4月1日に施行

非化石エネルギーの定義は法第2条にあります。2022年5月20日公布の改正法(令和4年法律第46号)でこの考え方が入り、2023年4月1日に施行されました。省エネ法は、輸送事業者、荷主、家電などの製造事業者にも義務を定めています。

データセンターの事業者が添える3つの書類 2026年4月1日施行の施行規則の改正で、第35条に第4項が加わりました。データセンターは、データ処理用のコンピュータや通信装置の設置と運用に特化した建物や部屋と定義されています。対象の事業者は、中長期計画書に次の書類を添えます。

  1. 判断基準に定める、データセンターの事業でのエネルギーの使用の合理化の目標
  2. 目標の達成に向けた、データセンターごとの方針
  3. そのデータセンターの設備の運用、新設、更新についての方針

技術的な理由などで合理化が難しいデータセンターは、方針の対象から除かれます(同項のかっこ書き)。2026年3月31日時点の施行規則には、データセンターについての定めはありませんでした。データセンターを「利用し」て事業を行う者も、第35条第4項の対象です。

データセンターの数値の基準の案 制度の数値の基準は、資源エネルギー庁が2025年6月に案として示しました。

措置2025年6月の案の中身
満たすべき効率の基準2029年度以降の新設は、稼働から2年たったらPUE1.3以下
新設の目標2025年度以降の新設について、PUEの目標を出して公表する
事業者全体の目標2030年度の事業者平均のPUEの目標を出す
原単位の目標エネルギー消費原単位の改善率の目標を出して公表する
追加の定期報告データセンターごとなどに、使用量や効率を報告する
一部の公表効率などの情報を、データセンターごとなどに公表する。案が掲げる目的は「先進的な取組が社会から評価され業界内で広がること」

1,500klの判定 法人ごとに合計する根拠は法第7条です。

区分基準根拠
特定事業者全ての工場等の合計が年度1,500kl以上法第7条、施行令第2条
第一種エネルギー管理指定工場等1つの工場等で年度3,000kl以上法第10条、施行令第3条
第二種エネルギー管理指定工場等1つの工場等で年度1,500kl以上(第一種を除く)法第13条、施行令第6条
非化石の中長期計画他者に売る熱や電気をつくる燃料を除いても1,500kl以上法第15条第2項

使用量の換算は施行令第2条によります。年度は4月1日から翌年3月31日までです。連鎖化事業者、つまりフランチャイズの本部の扱いは法第19条によります。グループ会社をまとめて認定を受ける認定管理統括事業者の仕組みもあります(法第31条)。指定の取消しの申出は法第7条第4項によります。

特定事業者の5つの義務

  1. 担当者の選任 エネルギー管理統括者を選びます。事業の実施を統括管理する者を充てます(法第8条)。統括者を補佐するエネルギー管理企画推進者も選びます(法第9条)。
  2. 指定工場の管理者 指定工場等ごとに、エネルギー管理者やエネルギー管理員を選びます(法第11条ほか)。
  3. 省エネの中長期計画 判断基準の目標を達成するための計画をつくり、毎年度出します(法第15条第1項)。
  4. 非化石の中長期計画 非化石エネルギーへの転換の目標について、計画をつくって出します(法第15条第2項)。
  5. 定期報告 前年度のエネルギーの使用状況などを毎年度報告します(法第16条)。

判断基準は、国が定めて公表する事業者の取組の目安です(法第5条)。国の資料が示すエネルギー消費効率の改善の目標は、年1%です。中長期計画書は様式第8、定期報告書は様式第9で、定期報告書に書く事項は施行規則第37条で決まっています。中長期計画の提出の間隔を延ばせる条件は施行規則第35条第2項、非化石の計画は同条第3項によります。

号前年度について報告する事項
1エネルギーの種類別の使用量と合計量、販売した副生エネルギーの量
2一定以上を使う工場等ごとの使用量(指定工場等を除く)
3・4エネルギーを使う設備と、省エネの設備の新設・改造・撤去と稼働の状況
5判断基準の遵守状況、電気需要最適化の指針に沿った措置など
6生産数量や建物の延床面積など、使用量と関係の深い値
7エネルギーの使用の効率
8ベンチマーク指標にもとづく値
9非化石エネルギーの使用状況
10エネルギーの使用にともなうCO2の排出量

7号の使用の効率は、エネルギー消費原単位の4年度前との比を4乗根した値です(施行規則第35条第2項)。5年度間の、原単位の年平均の変化の比にあたります。電気需要最適化評価原単位で計算する方法もあります。

非化石エネルギーへの転換の目標 経済産業大臣は、非化石エネルギーへの転換についても判断基準を定めます(法第5条第2項)。事業者はこの基準の目標に向けて、中長期計画をつくります。

事項内容出どころ
判断基準の中身燃料での非化石燃料の使用、非化石の熱や電気の使用など法第5条第2項
目標業種ごとの非化石転換の目標などを判断基準で示す資源エネルギー庁(2025年3月)
買った電気の評価小売電気事業者のメニューごとの非化石電源の比率を反映する資源エネルギー庁(2025年3月)
屋根の太陽光工場等の屋根への導入目標と、設置状況や設置の余地を国に報告する資源エネルギー庁(2026年3月)

取組が判断基準に照らして著しく不十分なとき、国は勧告できます。勧告に従わなければ、その旨を公表できます(法第18条)。省エネの側とちがい、命令の定めはありません。

ベンチマーク制度とクラス分け ベンチマークの水準は、足元で上位1〜2割の事業者が満たす高さに設定されています(経済産業省・総務省、2023年3月)。対象の業種の事業者は、定期報告書でベンチマーク指標の値を報告します(施行規則第37条第8号)。データセンター業は2022年4月に対象の業種に加わり、最初の報告は2022年度分を2023年7月に出したものです。データセンター業の指標はPUEで、2030年度に事業者平均のPUEを1.4以下まで下げるよう努めます。

クラス分けの水準と国の対応は次のとおりです(資源エネルギー庁、2018年8月の資料)。

クラス水準国の対応
S5年度間の平均で原単位を年1%以上減らした、またはベンチマークの目標を達成事業者名を経済産業省のサイトで公表
ASとBの間特になし
B年1%に届かず直近2年連続で原単位が増加、または5年度間の平均で5%超の増加注意を促す文書の送付、現地調査など
CBのうち、判断基準の遵守状況が特に不十分指導

毎年度の流れ

時期手続き
4月〜翌3月工場や事業所ごとにエネルギー使用量を記録する
翌年度 5月末合計が1,500kl以上になり、まだ指定を受けていなければ届け出る(施行規則第5条)
指定のあと国が特定事業者に指定する。管理統括者などを選んで届け出る
毎年度 7月末中長期計画書(様式第8)と定期報告書(様式第9)を出す
報告のあと国が取組を評価する。不十分なら指導や合理化計画の指示を行う

災害などやむを得ない理由があれば、経済産業大臣が事由を考えて定める期限までに出せば足ります。届出や報告は、オンラインの申請システムである電子情報処理組織でも出せます(施行規則第103条)。

これまでの制度の変更

時期事項根拠
2022年4月データセンター業をベンチマーク制度に追加経済産業省・総務省の資料
2022年5月20日非化石転換を加えた改正法の公布令和4年法律第46号
2023年4月1日改正法の施行。非化石の計画が始まる同法附則第1条
2023年7月末旧様式で出せる報告の期限(一部の表を除く)令和5年省令第11号附則第2条第7項
2024年7月末非化石エネルギーの使用状況の報告が始まる同附則第2条第5項
2025年12月26日データセンター向けの書類を加えた施行規則の改正を公布令和7年経済産業省令第81号
2026年4月1日その改正の施行(第35条第4項)。屋根の太陽光の報告の省令改正も同日に施行同省令附則、資源エネルギー庁の資料
2026年7月1日識別符号など、オンラインで出すときの手続きを改める施行規則の改正を施行令和8年経済産業省令第59号

指示・命令と罰則 省エネの状況が判断基準に照らして著しく不十分なとき、国は合理化計画の作成を指示できます(法第17条)。従わなければ公表し、審議会の意見を聴いて命令できます。

違反罰則根拠
指定のための届出をしない、うその届出50万円以下の罰金法第175条第1号
中長期計画を出さない50万円以下の罰金法第175条第2号
定期報告をしない、うその報告50万円以下の罰金法第175条第3号
統括者などを選任しない100万円以下の罰金法第174条第1号
合理化計画についての命令に違反100万円以下の罰金法第174条第2号

温対法・GX-ETSとの関係

制度省エネ法との関係
温対法のSHK制度定期報告のうちCO2排出量の部分は、温対法の報告とみなされる(温対法第34条)
GX-ETS届出に、省エネ法の定期報告書の一部の表の写しを添付する(GX推進法施行規則第10条)
建築物省エネ法建築物の規定は、2017年度から建築物省エネ法に移った
電気需要最適化の指針省エネ法の中の仕組み。電気の需給に応じて使う時間帯を変えることなどを促す(法第5条第3項)

温対法のSHK制度で、省エネ法の定期報告に書いたCO2排出量は、エネルギー起源のCO2の報告として扱われます。それ以外の温室効果ガスは、温対法の手続きによります。経済産業大臣は、CO2排出量の報告事項を定めるとき、環境大臣に協議します(法第16条第2項)。

判断基準と指針は、エネルギー需給の見通しや技術の水準などに応じて改定されます(法第5条第4項)。

対象の数と判定の例 特定事業者は約12,000事業者です(資源エネルギー庁、2025年3月)。どの工場も単独では1,500klに届かなくても、合計で届けば対象です。1つの工場等で年度1,500kl以上なら、その工場等も指定工場等になり、管理者を置きます。フランチャイズの本部は、加盟店の分も合わせて判定します。

中長期計画の提出の間隔 原則は毎年度ですが、次のどちらかを2年度以上続けて満たせば、最長5年の間隔で出せます。非化石の計画も、内容が前年度から変わらなければ、最長5年の間隔で出せます。

  1. エネルギーの使用の効率が99%以下であること
  2. ベンチマークの目指すべき水準を達成し、その事業の使用量が全体の過半を占めること

PUE1.3を満たさない場合 罰金がかかるのは、国の命令に違反したときです。PUE1.3は2025年6月の時点では案で、法律上は、取組が著しく不十分なときに合理化計画の指示、公表、命令の順で進みます。データセンターを借りている事業者の細かな扱いは、まだ決まっていません。

PUE1.3の基準は案の段階

時期項目状態
2029年度以降新設データセンターのPUE1.3以下の基準2025年6月の案。最終の内容は未定
未定2025年6月の案のほかの基準値。新設の目標、事業者平均の目標、原単位の目標、追加の報告と公表国が定める取組の目安である判断基準での、最終の定めは未定
未定情報処理そのもののエネルギー効率の評価指標と基準資源エネルギー庁が検討中と説明(2025年6月)。時期は未定