更新日 2026年11月6日
米国の追加関税は、大統領が法律で認められた権限を使い、通常の関税に上乗せする税です。いま日本からの品にかかるのは、安全保障を理由に品目ごとに決める232条と、相手国の貿易慣行を理由にほぼ全品目にかける301条の関税です。最高裁が無効とした国際緊急経済権限法(IEEPA)の関税は止まり、米国で輸入者として払った会社への還付が進んでいます。
| 立場 | 見分け方 | すること |
|---|---|---|
| 米国で輸入者になっている会社 | 米国の輸入申告で、自社か米国の子会社が記録上の輸入者になっている | IEEPA関税の還付を申請し、品目ごとの税率を確かめる |
| 米国の顧客や商社に製品を納める会社 | 輸入申告は顧客や商社が出している | 関税を払い、還付を受けるのは輸入者。自社品の税率を把握し、顧客に聞かれたら答えられるようにする |
| 米国へ製品が渡らない会社 | 自社品が米国向けの製品に使われていない | いま確かめる税率はない。結果待ちの301条調査(最後の表)は見ておく |
税率は、米国の関税の品目番号(HTSコード)で決まります。輸出の通関書類にある世界共通の品目番号に、米国が桁を足したものです。
表の「MFN込み」は、通常の関税率(MFN税率)に追加関税を足した合計がその率になることを指します。
| 品目 | 根拠 | 日本への税率 |
|---|---|---|
| 下の分野に当たらない品(一般品目) | 301条 | MFN込み12.5%。MFN税率が12.5%以上なら上乗せなし |
| 自動車・同部品 | 232条 | MFN込み15% |
| 鉄鋼・アルミ・銅とその製品 | 232条 | 50%。派生品の一部は25% |
| 半導体(特定の性能の先端品) | 232条 | 25% |
| 特許医薬品 | 232条 | MFN込み15%が上限 |
| 木材・製材、布張りの家具、キッチンキャビネットなど | 232条 | MFN込み15%が上限 |
2025年7月の日米合意で決まった「15%」のうち、一般品目の分はIEEPAにもとづく相互関税の税率でした。判決で相互関税が止まったため、いま一般品目にかかるのは301条の12.5%です。自動車・同部品の15%は232条で定めたものなので、判決のあとも続いています。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年2月(済) | 20日に最高裁がIEEPAは関税の根拠にならないと判断し、24日にIEEPA関税の徴収が止まった |
| 2026年4月(済) | 税関が4月20日に還付申請の受付を始め、5月12日から支払っている |
| 2026年7月24日から | 一般品目に301条関税がかかり始めた |
| 2027年12月31日 | 産業機器や農業機械などに使う鉄鋼・アルミ派生品の軽い税率(MFN込み15%)が終わる |
米国で輸入者になっている会社
米国の顧客や商社に製品を納める会社
Q 自動車部品には、232条の15%と301条の12.5%の両方がかかりますか。
A かかりません。232条の対象品は301条の追加関税の対象から外れ、かかるのは232条の税率だけです。中国原産の品には、品目によってこれとは別に中国向けの301条関税がかかります。
Q 還付はどこまで進んでいますか。
A 徴収額の約7割に還付が承認されています。2026年7月時点で、1,660億ドルのうち1,218億ドルです。
MFN税率 米国がWTO加盟国からの輸入に等しくかける通常の関税率です。
判決 連邦最高裁は2026年2月20日、Learning Resources v. Trump の判決で、IEEPAは関税の根拠にならないと判断しました。止まった関税は、世界各国への相互関税(10〜41%)、カナダ・メキシコ・中国への違法薬物などを理由にした関税、ブラジルへの関税などです。日本への相互関税は、2025年8月7日からMFN込み15%でした。
還付の手順 国際貿易裁判所が3月にCBPへ還付を命じ、CBPは還付用のシステム(CAPE)を作りました。申請は電子申告システム(ACE)のポータルからで、輸入申告の一覧をCSVファイルで出します。受け取れるのは記録上の輸入者か、輸入者がCBP Form 4811で指定した受領者で、ACH(自動決済機関)を通じて米国の銀行口座に振り込まれます。
| 段階 | 受付の開始 | 対象 |
|---|---|---|
| フェーズ1 | 2026年4月20日 | 未清算か、清算から80日以内の輸入申告 |
| フェーズ2 | 2026年6月29日 | フェーズ1で外れた一部の輸入申告 |
| フェーズ3 | 機能を広げる予定 | 最終清算済みの輸入申告など |
CBPは、フェーズ1〜3でIEEPA関税の徴収額の90%以上を扱える見込みと説明しています。政権は6月2日、国際貿易裁判所の還付命令の差し止めを求めて控訴しました。
301条関税(強制労働)の決まり いまの301条関税は、強制労働で作られた品の輸入を禁じていないことを理由に、日本を含む60か国・地域にかけたものです。EUは同じ問題に強制労働製品禁止規則で臨んでいます。USTR(米国通商代表部)は3月12日に60か国・地域の調査を始め、6月2日に結果を公表し、7月24日に発動しました。輸入禁止を法律で定めている国などは10%、効果的に実施していない46か国(日本を含む)は12.5%です。MFN税率が従量税や混合税の品は、税額を関税評価額で割って率に直して比べます。
| 301条関税の対象外 |
|---|
| 232条の追加関税の対象品 |
| 米国内で供給できなくなるおそれのある原材料、米国経済全体に混乱を招きかねない品、米国内で十分な量を作れない品など、官報の付属書に載る品 |
| 情報資料、寄付品、手荷物 |
日本の経済産業相は7月24日の会見で、昨年の合意を超える追加関税を日本に課すことはないと米国に確認したと述べています。
122条 通商法122条は、大きな国際収支の赤字に対処するため、大統領が15%以内の輸入課徴金を150日まで課せる規定です。2026年2月24日〜7月23日に、全品目へ原則10%を上乗せしました。
自動車・同部品 232条の関税は、2025年4月に自動車、5月に部品へ25%で始まりました。日本には日米合意を受けて、2025年9月16日からMFN込み15%を適用しています。MFN税率が15%以上の品には上乗せがありません。米国で組み立てる自動車メーカーが承認した部品の輸入者は、希望小売価格の合計の3.75%相当を部品の関税と相殺できます。中・大型トラックと同部品には25%がかかります。
鉄鋼・アルミ・銅 鉄鋼・アルミの製品は全部が50%、派生品と銅製品は品目によって50%か25%です。複数の金属を含んでも税率は重ねません。銅は2026年4月6日から、銅の部分だけでなく申告価格全体に課税するよう変わりました。米国で溶解・注湯した鉄鋼などを85%以上使う品は10%です。
| 軽減の対象 | 期間 | 日本への税率 |
|---|---|---|
| 産業機器・電力機器、農業機械に使う派生品 | 2026年4月6日〜2027年12月31日通関分 | MFN込み15%。2028年1月1日からは原則25% |
| 建設・運搬機械 | 2026年6月8日〜2027年12月31日通関分 | MFN込み15% |
半導体 2026年1月15日から、総処理性能とDRAMの帯域幅が決まった範囲にある先端品に25%をかけています。米国内でデータセンター以外の民生用途や修理・交換、研究開発などに使う場合は対象外です。半導体の関税がかかる品には、ほかの232条関税はかけません。
医薬品 付属書に載る特許医薬品と関連の原料が対象で、ジェネリック医薬品、希少疾病用医薬品、米国原産品は対象外です。日本、EU、韓国、スイス、リヒテンシュタインはMFN込み15%が上限です。
木材 2025年10月14日から、木材・製材に10%、布張りの家具やキッチンキャビネット・洗面化粧台に25%をかけ、日本、EU、台湾はMFN込み15%を上限としています。家具などの一部は2027年1月1日に税率を上げる予定です。
| 時期 | 項目 | 状態 |
|---|---|---|
| 未定 | 過剰生産能力を理由にした301条調査 | 2026年3月11日に、日本を含む16か国・地域の製造業について調査を開始。日本では自動車・同部品、光学、写真、技術装置、医療機器が対象。結果は未公表 |