更新日 2026年11月5日
サーキュラーエコノミー(資源循環)が企業の課題になったのは、EUが包装や車に再生材の最低の割合を決め、満たさない品を域内で売れなくすると決めたからです。日本の国の計画も、輸入物価の上昇や国際的な資源の獲得競争を挙げ、資源を国内で回すことを経済安全保障の問題として扱っています。2026年4月からは、自動車、家電、容器包装の大手メーカーに、再生プラスチックの利用計画を国へ出す義務がかかりました。
日本の廃プラスチックは89%が有効利用されていますが、プラスチック循環利用協会の集計では、素材に戻すマテリアルリサイクルは20%で、67%は燃やして熱や電気を取る利用です。再生材は、回収した製品や廃棄物をもう一度原料にした素材で、燃やした分からは生まれません。
素材に戻すには、混ざったものを素材ごとに分ける選別が要ります。ペットボトルはボトルからボトルへ戻せるようになりましたが、衣類は素材ごとに分ける技術がまだ開発の途中です。環境省も、製造業が求める質と量の再生材を安定して出せる事業が不足していると説明しています。
欧州委員会は、車の再生プラスチックの義務を、再生材の需要を押し上げるためと説明しています。割合が先まで決まっていれば、リサイクルの設備に投資する側に見通しが立ち、輸入する新しい原料への依存も減るという考え方で、再生材の本当の市場をつくる一歩と位置づけています。
| 比べるところ | EU | 日本 |
|---|---|---|
| 何にかかるか | 包装の規則、自動車の規則、製品の設計の規則で基準ができた製品。輸入品も | 一定の量を売る大手メーカー |
| 求めること | 再生材の最低の割合を満たす | 利用計画と毎年度の報告 |
| 割合の数字 | 包装は2030年と2040年の2段階。車は2032年に15%、2036年に25% | 法律と施行令にはない |
| 守らないと | 域内で売れない | 取り組みが著しく足りないと国が勧告し、従わないと社名の公表、命令に背くと50万円以下の罰金 |
| 会社の位置 | 見分け方 | 手を付けること |
|---|---|---|
| EUへ製品を出す会社 | EU向けの製品や包装した品がある | 包装の素材と再生材の割合をつかむ |
| 再生材を使う日本のメーカー | 年に容器包装1万トン、車1万台、家電4品目5万台以上 | 利用計画を出し、毎年度報告 |
| 再生材を作る・回収する会社 | 処分業者で、年の処分量1万トンか廃プラスチック1,500トン以上 | 再資源化の実績を毎年報告 |
| いまは関係が薄い会社 | 上のどれでもない | 義務はまだない。製品の設計の規則の最初の品目(鉄鋼、アルミ、繊維、家具、タイヤ、マットレス)を見ておく |
Q 容器包装は自社で作っていません。利用計画は関係ありますか。
A 当たることがあります。外部に作らせた量と、自社で輸入して売った品の包装の量も1万トンに入ります。
使う側のメーカーでは、どの製品に再生材をどれだけ使ったかを数え、記録で示す仕事が要ります。置き換えられる部品や包装を探すのは設計と購買、使った量と出どころを確かめるのは品質保証やサステナビリティの担当です。
上場会社が毎年出す有価証券報告書(有報)を4,071社分見ると、「資源循環」と書く会社は1年で2割増えました。それでも、再生材の割合を%で書けた会社はまだ8社です。
再生材を作る技術は、メーカーと大学が国の実証で担っています。国の委託の受注データでは、資源循環の案件のお金の4分の3がメーカー・大学・財団などに流れました。コンサルティング会社やシンクタンクは件数では上位でも、1件ごとは小さい調査や制度づくりです。
資源有効利用促進法の利用計画 改正は令和7年法律第52号(2025年6月4日公布)で、GX推進法とあわせた改正です。施行は2026年4月1日です。再生プラスチックは、法律では「脱炭素化再生資源」、対象の製品は「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」と呼びます。判断の基準は主務省令で定め(第21条)、計画の作成と提出(第23条)、毎年度の報告(第24条)、勧告・公表・命令(第25条)が続きます。命令に違反すると50万円以下の罰金(第70条)、計画を出さないか報告をしないと20万円以下の罰金(第72条)で、法人も罰せられます(第73条)。
| 製品 | 計画を出す規模(1事業年度) |
|---|---|
| プラスチック製容器包装 | 1万トン以上 |
| 自動車 | 1万台以上 |
| ユニット形エアコンディショナ | 5万台以上 |
| テレビ受像機 | 5万台以上 |
| 電気冷蔵庫 | 5万台以上 |
| 電気洗濯機 | 5万台以上 |
規模は施行令第16条で、勧告の対象になる規模も同じです(第17条)。生産量には発注して製造させた分を含み、販売量は自ら輸入したものの販売量に限ります。対象の事業者には、製造、加工、修理、販売、賃貸をする者と、製造を発注する事業者が入ります(第21条)。計画を作るときは、GX推進法の投資をする事業者がつくった再生材やそれを使った部品を使うよう配慮します(第23条第2項)。命令の前に意見を聴く審議会は、容器包装を使う業種により、産業構造審議会、財政制度等審議会、国税審議会、食料・農業・農村政策審議会に分かれます(施行令第18条)。
同じ改正で、資源の有効利用と脱炭素化を進める設計の指針(第29条)と、指針に合う設計を国が認める設計認定(第30条)ができました。国は、認定を受けた製品の調達が進むよう、グリーン購入法の基本方針で配慮します(第32条)。
再資源化事業等高度化法 2024年5月29日に公布、2025年11月21日に全面施行されました。柱は、環境大臣の基本方針、判断の基準と報告・公表、国が一括して認定する制度の3つです。報告は環境大臣にします。質の高い再生材を広い地域から集めて出す事業は国が一括して認定し、認定を受けると廃棄物処理法の許可の手続きが一部省けます。
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 報告する処分業者 | 前年度に処分した産業廃棄物が1万トン以上か、廃プラスチック類が1,500トン以上。処分は再生を含み、埋立と海洋投入を除く。特別管理産業廃棄物は数えない |
| 報告の中身 | 産業廃棄物の種類と処分の方法の区分ごとに、前年度の処分量と再資源化した量 |
| 報告の期限 | 毎年6月30日。2025年度の実績を出す2026年の報告は、柔軟に運用する予定 |
| 任意の報告 | 対象外の事業者も報告でき、国が公表する |
| 認定の3類型 | 事業形態の高度化(高度再資源化事業)、分離・回収技術の高度化、再資源化工程の高度化 |
第五次循環型社会形成推進基本計画 2024年8月2日に閣議決定されました。資源を国内で回せば輸入物価の上昇の影響を小さくでき、重要鉱物の供給も増えるとして、経済安全保障の強化につながると位置づけています。天然資源の需要の増大と国際的な資源の獲得競争も、課題に挙げています。数値目標の年は2030年度で、循環経済に関わるビジネスの市場規模を、約50兆円から2030年までに80兆円以上に広げる目標も入っています。
自動車向けの再生プラスチックの国の動き 環境省は2026年10月30日、自動車向けの再生プラスチックの市場をつくる産官学のコンソーシアムの初会合を開きました。議題は、再生プラスチックを集める拠点、再生材の出どころを証明する認証の仕組み、使用済みの車から回収できるプラスチックの量などです。
2026年に始まったこと 日本の利用計画の制度は2026年4月1日に施行されました。EUでは、大企業による売れ残りの衣類・靴の廃棄の禁止が7月19日から、包装の規則が8月12日から適用されています。処分業者の報告は、2026年が初回です。
日本の廃プラスチックの行き先 プラスチック循環利用協会の2024年の集計では、廃プラスチックの総排出量は911万トン(一般系395万トン、産業系516万トン)、有効利用は810万トンです。量はマテリアルリサイクル180万トン、ケミカルリサイクル23万トン、サーマルリサイクル608万トンです。ケミカルリサイクルには高炉・コークス炉の原料、ガス化、油化が入り、サーマルリサイクルには固形燃料、セメントの原燃料、発電焼却、熱利用焼却が入ります。マテリアルリサイクルの180万トンのうち、一般系は76万トン、産業系は104万トンです。
回収と選別の例 ペットボトルの回収率は2005年度の61.7%から2021年に94.0%へ上がりました。自動販売機の横の回収箱には、異物が混ざりにくい新しい作りのものを業界団体が入れています。金属は、高度な選別の実証や設備の補助で国内の回収量を増やし、金属のリサイクル原料の処理量を2030年度までに倍にする目標があります。これまでの廃棄物処理法や個別のリサイクル法は、懸念される廃棄物の適正な処理に力点を置き、再生材の質と量を上げる施策が不十分だったと環境省は説明しています。
有報の言葉と、割合を書いた会社
| 有報に出てくる言葉 | 社数 1年前→最新 |
|---|---|
| 資源循環 | 330→395(+20%) |
| サーキュラーエコノミー・循環経済 | 230→247(+7%) |
| 再生材・再生プラスチック | 117→137(+17%) |
再生材の割合を%で書いた8社は、本田技研工業(再生材・バイオマス材の使用率を2031年3月期に30%にする目標。二輪は日本生産の欧州向けモデル、四輪は日本生産のEV)、明治ホールディングス(ペットボトルの再生プラスチックの使用比率24.0%)、インフロニア・ホールディングス(アスファルト合材の再生材料の割合50%以上の目標)、PHCホールディングス(プラスチックの梱包材の再生プラスチック、2030年までに10%)、ニフコ、サクサ、I-ne、ベステラです。
国の資源循環の案件の内訳 機関別は環境省213件、経済産業省60件、NEDO 32件、農林水産省10件、国土交通省8件です。
| 受け手 | 件数 | 金額 |
|---|---|---|
| シンクタンク | 65件 | 31.9億円 |
| Big4 | 31件 | 16.5億円 |
| 戦略コンサル | 9件 | 9.5億円 |
| 環境調査会社 | 17件 | 4.1億円 |
| メーカー・大学・財団など | 192件 | 194.2億円 |
| 年度 | 件数 | 金額 |
|---|---|---|
| 2024年度 | 101件 | 75.1億円 |
| 2025年度 | 128件 | 111.6億円 |
| 2026年度(8月まで) | 96件 | 74.3億円 |
| 件数の多い受け手 | 件数 | 金額 |
|---|---|---|
| デロイト トーマツ | 26件 | 13.5億円 |
| みずほ(リサーチ&テクノロジーズ・銀行) | 20件 | 9.6億円 |
| 三菱総合研究所 | 19件 | 11.3億円 |
| 三菱UFJリサーチ&コンサルティング | 14件 | 4.7億円 |
| エックス都市研究所 | 10件 | 2.4億円 |
| 野村総合研究所 | 7件 | 4.4億円 |
| ボストン・コンサルティング・グループ | 6件 | 4.3億円 |
大きい案件には、NEDOの繊維から繊維への資源循環の構築(地球環境産業技術研究機構、2025年度10.8億円)、環境省の地域資源循環を通じた脱炭素化に向けた革新的触媒技術の開発・実証(フルヤ金属・クボタ・京都大学、各年度4〜8億円)、経済産業省のサーキュラーエコノミー実現のための効果測定調査実証事業(電通、2025年度6.9億円)があります。東レは7件・7.2億円です。最も大きいのは、NEDOの次世代航空機向け複合材資源循環システムの研究開発(東海国立大学機構、2026年度11.1億円)です。
太陽光パネル 太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律の下位法令を決める環境省の検討会が、2026年10月30日に初めて開かれました。議題は、パネルのリサイクル制度、太陽電池の種類と重量、多量に出す者の基準などです。
包装・包装廃棄物規則 規則(EU)2025/40で、2025年1月22日に官報に載り、2月11日に発効、2026年8月12日に適用が始まりました。1994年の包装指令94/62/ECを置き換えます。
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 再生材 | プラスチックの包装に、2030年と2040年の2段階で最低の割合。飲料の使い捨てプラスチックボトルは2030年に30%、2040年に最大65% |
| リサイクルできる作り | 2030年までにすべての包装。乳児用調製粉乳の包装、危険物の輸送用の包装、軽い木材・コルク・繊維・ゴム・陶磁器・ろうでできた包装などは除く |
| 再使用 | 2030年に、輸送用と販売用の包装は40%、まとめ売りの包装は10%を再使用の形にする |
| PFAS | 2026年8月12日から、一定の濃度以上のPFASを含む食品用の包装は市場に出せない |
| 持ち帰り | 持ち帰りの飲食を売る店は、客が持ってきた容器に追加料金なしで入れる |
| 小さな事業者 | 零細企業の決まりは軽くなる |
使用済み自動車の規則 規則(EU)2026/1738です。EU理事会と欧州議会が2025年12月12日に暫定合意し、欧州議会が2026年6月18日に採決、理事会が6月29日に採択し、7月24日に官報に載り、8月に発効しました。適用は発効の2年後です。欧州委員会は、再生材の割合の義務を再生材の需要を押し上げるためと説明し、輸入車にも同じ決まりをかけて条件をそろえます。使用済みの車のプラスチックは30%以上をリサイクルします。
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 再生プラスチック | 新しい型式の車ごとに、2032年から15%、2036年から25%(発効から6年・10年)。うち20%は使用済みの車か、使用中に外した部品から回収したもの |
| 鉄鋼・アルミ | 欧州委員会が実現の可能性を調べ、発効の2年後に再生材の目標を出す。適用は2033年からの見込み。マグネシウムと永久磁石の材料にも決められる |
| 設計 | 解体の事業者が、部品をできるだけ外しやすい作りにする |
| 生産者の費用 | 発効の3年後から、メーカーが使用済みの車の回収と処理の費用を負う |
| 輸出 | 発効の5年後から、走れない中古車のEU外への輸出を禁じる |
エコデザイン規則 規則(EU)2024/1781で、2024年6月28日に官報に載り、7月18日に発効しました。基準は欧州委員会の委任規則で、製品ごとか似た製品のまとまりごとに決め、EUの外でつくった輸入品にもかかります。基準には、長持ち、交換部品、再生材の最低の割合などの性能の基準と、製品の特徴やカーボンフットプリントなどの情報の基準があります。デジタル製品パスポートの登録システムは2026年7月20日に動き始め、委任規則の採択から少なくとも18か月の移行期間を置きます。
| 品目 | 委任規則の予定 |
|---|---|
| 鉄鋼 | 2026年(第4四半期に採択の予定) |
| 繊維(衣類が中心)、タイヤ、アルミ | 2027年 |
| 家具 | 2028年 |
| マットレス、情報通信機器、再生材の横断の基準 | 2029年 |
| エネルギーを使う製品 | 2026〜2029年 |
作業計画は2025年4月16日に採択されたCOM(2025) 187で、2028年に見直します。売れ残りの衣類、衣類の付属品、靴の廃棄の禁止は、大企業に2026年7月19日から、中規模の企業に2030年からかかり、小規模・零細の企業は除かれます。例外は2026年2月9日の委任規則で決まり、例外を使う会社は証拠を残し、廃棄した量を毎年公表します。公表の様式を決める実施規則は、2027年2月から適用されます。
EUの循環経済行動計画 2020年3月11日に採択された第2次の計画で、製品の設計から廃棄までを通して資源を域内に長くとどめる方針です。計画した法律の多くは、すでに採択され発効しています。EUで使う材料のうち、回収した資源から戻った分の割合は11.8%で、2030年までに24%にする目標をクリーン産業ディールで掲げています。循環経済法は、再生材の域内の市場をつくり、再生材の供給と需要を増やすための法律で、意見募集は2025年8月に始まりました。
| 時期 | 中身 | 状態 |
|---|---|---|
| 2026年中 | EUの循環経済法の案 | 欧州委員会が採択を予定 |
| 2026年第4四半期〜2027年 | 製品の設計の規則で、鉄鋼、次に繊維・タイヤ・アルミの基準 | 欧州委員会の予定 |