更新日 2026年11月6日

制度の解説|物流と取引

物流効率化法(特定荷主とCLO)

物流効率化法は、トラック運転者の荷待ち(積み降ろしを待つ時間)と荷役の時間を減らし、1台に積む量を増やすよう、国が荷主と物流会社に取り組みを求める法律です。きっかけは運転者の残業に上限がついたことで、このままでは運ぶ力が足りなくなると見込まれました。2026年4月からは、扱う荷物が年9万トン以上の荷主が「特定荷主」に指定され、役員級の物流の責任者を置いて、国に計画と報告を出しています。

制度の解説物流効率化法

年9万トンを超える荷主が特定荷主

立場見分け方すること
特定荷主に指定された会社前の年度に扱った荷物が9万トン以上。国土交通省が公表する特定事業者の一覧に社名があるCLOを選んで届け出て、中長期計画と毎年の定期報告を出す
荷主に協力する運送・倉庫会社荷主の荷物を運ぶか預かる。荷主と直接契約する元請の運送会社には協力の努力義務がある荷待ち時間の記録や到着時刻の調整、積み合わせの相談に応じる
9万トンに届かない荷主扱う荷物が年9万トン未満荷待ちを減らす努力義務だけ。9万トンを超えたら翌年度の5月末までに届け出る

9万トンには、荷物を出す発荷主の分だけでなく、受け取る着荷主の分も入ります。メーカーや卸には両方に当たる会社が多く、2つの指定を受けてもCLOは1人で足ります。

荷待ちを減らす責任を荷主にも

  1. 国の判断基準では、運転者を待たせる時間は荷役を含めて1回の受け渡しにつき原則1時間以内です。これはすべての荷主と物流会社の努力義務で、手だての例としてトラックの予約受付や、出荷・納品の時刻を散らすことが挙がっています。
  2. 特定荷主は最長5年の中長期計画を立て、毎年の定期報告で荷待ち時間などの状況を国に出します。影響の大きい大手から確実に取り組ませるため、規模で線を引いています。
  3. CLO(物流統括管理者)は、特定荷主ごとに1人、役員などの経営幹部から選びます。生産・在庫・販売を見渡し、取引先とも物流の段取りを詰める立場として置かれました。

最初の定期報告は2027年7月末

時期すること
2025年4月(済)すべての荷主・物流会社に努力義務がかかった
2026年5月末(済)基準を超える荷主が届け出た。指定を受けた会社は、すぐにCLOを選んで届け出た
2026年10月末(済)特定荷主が最初の中長期計画を出した。2027年度からの締め切りは7月末
2027年7月末特定荷主が最初の定期報告を出す。以後は毎年7月末

報告の前に測るもの

特定荷主に指定された会社

  1. 荷待ち時間と荷役時間を、どの拠点でどう測るかを運送会社と決めます。荷待ち時間は、運転者が着いてから荷役を始めるまでの時間です。
  2. 10月末に出した中長期計画で重点にした荷物と拠点を見直し、報告で数字を出す範囲をそれにそろえます。
  3. CLOがグループの複数の会社を兼ねるなら、その人が各社に籍を置いているかを人事と確かめます。

荷主に協力する運送・倉庫会社 荷主ごとに、到着の時刻と荷役を始めた・終えた時刻を残せるかを先に確かめます。燃料の量やCO2の数字を求められることもあり、こちらは荷主が省エネ法の報告に使うもので、燃料を荷主ごとにトンキロで割り振る手順で出せます。

指定を受けた荷主がよく聞くこと

Q 計画どおりに荷待ちが減らなかったら、罰則はありますか。
A 計画どおりに減らなくても、それだけで罰則はありません。罰則があるのは、届け出・計画・報告を出さないときと、CLOを選ばないときです。取り組みが判断基準に照らして著しく足りなければ国が勧告し、従わないと公表や命令に進みます。

Q 物流部長をCLOにしてもよいですか。
A 肩書きで決まるのではなく、事業の重要な決定に加わる管理的な地位にいるかで決まります。国の手引書は、CLOは物流部門の長ではなく、経営戦略としての物流を担う責任者だと説明しています。

指定と罰則の数字何社が指定されたか、罰金はいくらか、国の目標

指定の基準と指定数 改正物資流通効率化法は2024年5月15日に公布されました。特定事業者の制度とCLOの選任は2026年4月1日に施行されています。連鎖化事業者とはフランチャイズの本部のことで、加盟店と運転者のあいだの受け渡しの日時を指示できる場合に当たります。

区分基準国の事前の想定2026年8月27日の指定数
荷主・連鎖化事業者取扱貨物9万トン以上3,200社程度3,257件(第一種1,792、第二種1,446、連鎖化19)。重複を除き2,142社
トラック事業者保有150台以上790社程度877社
倉庫業者保管量70万トン以上70社程度56社

荷主の指定は重複を除いて2,142社で、国が事前に見込んだ3,200社程度より少ない数でした。トラックを150台以上持つ運送会社と、保管量が70万トン以上の倉庫会社は、それ自体が特定事業者として計画と報告を出しますが、CLOを置く義務はありません。

第一種荷主は、トラック事業者や利用運送事業者と継続して運送契約を結ぶ荷主で、多くは発荷主です。引き取りに行く物流では着荷主が第一種になります。契約は結ばないものの運転者と荷物を受け渡す荷主が第二種です。国は8月末に特定事業者の一覧を公表し、追加の指定も順に公表するとしています。

期限の決まり 届け出は、基準を超えた年度の翌年度5月末までです。中長期計画は指定された年度の7月末までで、2026年度に限り10月末でした。計画は主な荷物や課題のある拠点に絞ってよく、変えるときは翌年度の7月末までに改訂版を出します。定期報告に書くのは、判断基準を守っているかのチェックリスト、取り組みの記述、荷待ち時間などの状況です。

CLOは指定を受けたらすみやかに選び、遅くとも中長期計画か定期報告を出すまでが目安です。経済産業省の手引書は、経営幹部級が望ましく、デジタルの知見も重要だとしています。

荷待ちの目安の根拠 国の推計では、運転者の1運行で荷待ちと荷役にかかる時間は合わせて約3時間です。これを全国平均で2時間以内に下げるため、荷主は1回の受け渡しごとの目標を原則1時間以内とし、業界の事情でやむを得ない場合を除いて2時間を超えないようにします。

2028年度までの国の目標中身
荷待ち・荷役5割の運行で1時間短縮し、運転者1人あたり年125時間減らす
積載効率5割の車両で50%をめざし、全体で44%に上げる

2025年度の国の調査では、荷主のうちトラックの予約受付システムを入れていたのは24%、パレットを使っていたのは74%でした。

罰則 国は指導・助言のほか、報告を求め、立ち入り検査ができます(法第50条)。

違反罰則根拠
指定の届け出をしない・偽る、中長期計画を出さない、定期報告をしない・偽る、報告徴収や立ち入り検査に応じない50万円以下の罰金第76条
特定荷主がCLOを選ばない、命令に違反する100万円以下の罰金第75条
CLOの選任・解任を届け出ない・偽る20万円以下の過料第80条

勧告・公表・命令は第49条にあります。2026年11月1日には、1本の長距離輸送を複数の運転者でつなぐ中継輸送を進める改正(令和8年法律第21号)も施行されました。

あわせて読む

出典

  1. 国土交通省 物流・自動車局 物流政策課「特定事業者における中長期計画の記載例と注意点」2026年9月 https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/002025227.pdf
  2. 経済産業省「『物流効率化法』対応の手引書 特定荷主編」第1.1版、2026年4月 https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001984872.pdf
  3. 「荷主の貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化に関する判断の基準の解説書」2026年3月 https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001984869.pdf
  4. 国土交通省 報道発表(中継輸送を進める改正物流効率化法の施行期日を定める政令)2026年10月16日 https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu03_hh_000023.html
  5. 「物流効率化法」理解促進ポータルサイト https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/